過剰融資による不動産投資
昨今、1棟売りの収益ビル・収益マンション・収益アパート等に対する融資で問題視されているスルガ銀行。
5月15日に破産開始決定を受けた、「株式会社スマートデイズ」この会社と密接な関係にあったのがスルガ銀行である。
発端は、スマートデイズの主力商品の女性向けシェアハウス販売するにあたり、数千万円~一億円以上の融資が行なわれていた事です。
年収800万位の中堅サラリーマンがターゲットで、利回り8%以上・サブリースで安心感を与え一億円前後の融資を頭金なしフルローンで貸し出すという手法である。
普通で考えれば、そんな都合のいい話があるはずもないのに、言葉巧みに買わされてしまったのかもしれないですね。
早い人では、購入して3ヶ月ほどでサブリースの家賃収入が入ってこない状態に。
そうなると、返済が出来なくなり通常ならば3カ月以上返済を怠ると、期限の利益を喪失することになるので、いずれは競売開始になります。
ただ、今回は貸し手側も責任を感じているのか、返済方法の見直しなどで対応してるみたいだが、そんなことでは全く解決策にはなっていないと思う。
所有者は物件を売却しようにも、もともと物件の本来の価格よりも過剰評価された融資が出ているので、実勢価格で売却したところで借入残が相当額残ってしまう状態である。
ましてや、このスマートデイズのシェアハウスに関しては、一部屋の間取りが4畳程度で共同トイレ・共同洗面所・共同浴室・共同キッチンがワンフロアーに2個ずつしかない状態なのです。
まだ、入居率が高ければいいのですが、全く厳しい状態です。
この為に、上記のような状態で売却する事も出来ない状況ですね。
このような、一連の騒動が少しずつ明らかになっていき、今日のスルガ銀行の株価は一時ストップ安の620円まで暴落してしまいました。
今年の初めには2500円台を付けていたのに、この先どうなってしまうのだろうと不安になります。
ようやく、捜査も本格化して明確な情報が世の中に出てくるということだと思います。
スルガスキームと言われる会社の方針は、以前リーマンショック後の金融不安定時代に救世主のように現れ、自営業者の住宅ローン・収益物件への融資で助けられた人は多々居るのではないかと思います。
金利は高いが、その時々に対応するスルガスキームは称賛するところはあったと思います。
ただ、今回の過剰融資・不正融資は度を超えた状態まで行ってしまったとしか言えないですね。
その結果が、株価暴落で会社の存続まで危ぶまれる状態に。
そして、スルガ銀行・スマートデイズを信用して物件を購入された方々、この方々は今後どう生きていけばいいのか迄発展していく問題ではないでしょうか?
未だ、日本は銀行の貸し手責任を逃れるような仕組みになっていますが、諸外国では貸し手責任を負う国もあるのに...
今回の様な件については、国がらみで貸し手責任についても考えていかなければいけないのではないかと思います。
100%買い手側に責任が無いと言うことではなく、そんな甘い話は無いだろうと考えるのが妥当かもしれないが、買主は殆どが不動産投資・金融に関して素人なので、今回の様なケースは救済が必要なのではないかと考えます。
もっともっと深く掘り下げれば、色んな事が出てくるのでしょうが、私の今日の探求は、日本の貸し手責任の定義とは何だろう?と考えた結果、普通に住宅ローンを組んで払えなくなった場合に「あの時、銀行が融資しなかったら」と言って銀行に責任をかぶせるのは大間違いな事で、誰が見ても不動産会社と銀行とでシナリオが作られているのがわかる今回の様なケースは、貸し手責任を追及できるのではないかと言う事です。
このような状況で、金融業界は軒並み担保査定が極端に低くなり、本来適正な価格のはずなのに、そんな物件にも融資を出さない貸し渋りに近い現象が起きているのは確かだと思います。
早く正常な状態に戻ってくれないと、投資物件の価値が下がり続けてしまうので、早期の解決と金融庁からの正しい指導を出してもらいたいと望みます。